今夜味わうのは、旭川・豊岡の「みんなの大ぱん」の「ダークチェリーのデニッシュ」わずかな酸味のあとに追いつくカスタードとチェリーの程よい甘さ。パンの外側はサクッと、内側は口の中でほどけていく食感が印象に残るパンだった。
* * *
札幌から少し遠出をして
旭川までドライブ
右も左もわからない地で
地元の方にSNSで教えてもらった
豊岡にある「みんなの大ぱん」へ
気取らない店構え
店内には
いろいろなデニッシュが並ぶ
どれも手に取りやすい価格
わくわくしながら選んでいると
気づけば
少々長い時間がたっていた
パンを箱に入れてもらい
保冷剤まで添えてもらう
パン屋でこんな丁寧な扱いは
初めての体験かもしれない
今夜選んだ、パン

みんなの大ぱん
「ダークチェリーのデニッシュ」
ボートのような形の生地に
カスタードクリーム
その上には
部屋の灯りでつやつやと輝く
ダークチェリーが5つ
添えられたチェービルが
彩りを添えている
焼き目は、きつね色
ところどころに
淡い色が残る

先端には
薄い生地が幾重にも重なった
焦げたブラウン
購入するとき
トングの力加減を誤って
ほんのわずかに
姿が崩れてしまった
——— すこしくやしい
なかなか切れない、ダークチェリー
それほど繊細なつくり
だから
慎重にギザ刃のナイフを入れる
柔らかなダークチェリーは
刃を動かすたびについてきて
なかなか切れてくれない
何度か試してみる
どうしても切れない
——— 仕方ない
一気に押し切る

お皿には
バターが染みた跡
生地を指で押してみる
それでも
油分が指に残ることはない
下から上へ
きつね色に焼けた生地
薄いクリーム色のカスタード
深いボルドー色の
ダークチェリー
3つの色が重なる
パンとクリームの香りが
ほんのりと漂ってきた

ひとくちずつ、デニッシュを味わう
まずは
生地だけを口に含む
端っこは
やはり「サクサク」
バターの香りは控えめ
飾られた
3つの白い玉
フォークで叩いても
潰れない硬さ
——— 何なのだろう
口に入れると
タマゴボーロが溶ける感じに似ている
ほんのり甘い

チェリーが載った部分を
今度は大きく口に運ぶ
表面には
わずかな爽やかな酸味
そのあとに追いつく
程よい甘さのカスタードと
ダークチェリー
大粒のところは特に
果実の味が鮮やかに際立つ
薄く重ねられた生地のせいだろうか
口の中で
デニッシュがほどけていく
キンキンに冷やした
米焼酎の水割りを相棒に
残りも
あっという間に消えていった

今夜の記録
幸か不幸か
好みのパンがある店を
知ってしまった
そう何度も来られる
場所ではない
次に来た時も
行ったことのないパン屋を
巡りたいが
——— きっと、冒険できない
また同じ店を訪ねるのだろう
教えてくれた方に
感謝


